予防治療

将来のことまで見据えた「フィフティーンラブ大作戦」

予防治療

「フィフティーンラブ大作戦」とは、歯の生え始めの1歳前~15歳までの期間に予防に力をいれることで、将来強い歯を作る取り組みです。

当院は、お子さまの歯を15歳まで見守り育てることで、歯質を強化してその後の歯の健康につなげることを小児歯科予防の柱としています。それは、成人の虫歯治療には再治療が多い傾向があるからです。

逆に言えば、大人になってから健康な歯に新しい虫歯ができて治療するというのは、意外に少ないのです。そのため、3歳で乳歯が生えそろってから、歯質が強化される15歳まで見守り育てることで、成人した歯の健康までも守ることを目標としています。

また、当院ではこの取り組みを「フィフティーンラブ大作戦」と名付けて、親御さまと一緒にお子さまの歯を守るお手伝いをさせていただいています。

歯医者さんでの予防とは

予防歯科という言葉を最近よく耳にするようになってきました。予防歯科とはむし歯や歯周病などから歯を守り、健康に保つことを目的としている診療科のことですが、日本では「歯の病気を予防するために歯医者に行く」という人はまだ少数派です。通常、私たちが医療機関にかかる場合、体の異変、例えば風邪をひいたり、怪我をしたり、骨折したり・・というようなトラブルが出てから、ということがほとんどです。歯科に対しても同じような感覚でいる人が大多数なために、「歯に何起こってから歯医者に行く」というのがおそらく当たり前の感覚になっているのでしょう。

「むし歯や歯周病になってから歯医者に行くのがなぜ悪いの?治療すればちゃんと治るでしょう?」と思っている人も多いかもしれません。でも実はこれは間違った認識です。風邪や怪我、骨折などは起こってから治療するのが当たり前で、治療をしなくても治ってしまう場合もありますが、きちんと治療をすれば完治します。しかし、歯科の病気の場合は、一度かかってしまうと、治療をしても「元通りに完治する」ということはほぼありえないと考えたほうが良いでしょう。むし歯や歯周病になってから歯科で行う治療というのは、「治す」というよりも「病気の進行をとりあえず止めている」と言ったほうが正しいのです。

しかも、一度進行を止められたとしても、それは永久に効果があるわけではありません。むし歯の治療の場合はむし歯を削って詰め物をしますが、詰め物は所詮人工物ですから、いずれはガタがきて内部にまたむし歯を作ってしまうことになり、それを繰り返すうちにどんどん歯はダメになります。歯周病の場合は進行性の病気ですから、歯を支えている骨がみるみるなくなっていき、しまいには歯が抜け落ちてしまいます。

予防のメリットは?

むし歯や歯周病を予防していくことで、具体的に次のようなメリットがあります。

1.歯や心身が健康になる

むし歯や歯周病を未然に防ぎ、もしくは悪いところができても、早期に発見して治療することができ、歯をより健康な状態に保つことができます。また、むし歯や歯周病はそれに関わる細菌が全身に影響を及ぼして様々な病気を起こすことがわかっており、歯を健康に保つことはそれらの病気を防ぐことにもつながります。また、歯や体が健康であれば、様々な不調に悩まされることもなくなり、心の健康を保つ上でも大きな役割を果たします。

2.歯を美しく保つことができる

むし歯や歯周病は進行すればするほど、見た目に影響が出やすくなります。詰め物やかぶせ物は色が合わなくなったり、境目が目立ってしまうことがありますし、歯周病は歯茎が下がって老けた印象を与えてしまいます。

3.お金や時間の節約になる

予防歯科を実践するとなると、定期的に歯科に通うことになります。そのため、「忙しいし通えない」とか「お金がかかる」と思われがちですが、実は「悪くなってから治療する」という場合の方が、時間もお金も余計にかかってしまうことがわかっています。

予防を怠るとどうなる?

予防を怠ると次のようなことが起こってくる可能性があります。

1.痛い思いをする

歯というのは悪くなればなるほど、治療に痛みを伴いやすくなります。麻酔が効かずに大変つらい思いをすることも珍しくありません。

2.歯をどんどん失ってしまう

歯というものは、悪くなってもすぐに症状を出すとは限りません。痛みが出た時点で相当悪くなっているということも多く、その段階から治療をしたとしても手遅れであったり、歯があまり長持ちしなくなる可能性があります。そして歯を一本失うと、そこからバランスが崩れ、どんどん歯を失うことにもなりかねません。

3.お金や時間が無駄になる

歯の状態が悪くなるにつれ、治療の内容が複雑になり、時間もお金もかかるようになります。

4.あちこち体の不調が起こる

歯の健康を失うと、歯だけに影響が出るわけではありません。むし歯や歯周病の細菌が血液中に入って全身の病気を引き起こしたり、歯を失ったりすることで噛み合わせが狂い、頭痛や肩こりなどの不調、よく噛めなくなることで胃腸へ負担がかかったりなど様々な影響が起こってきます。また、そのような不調が心理的ストレスとなり、心の健康をも奪ってしまうことがあります。

歯医者さんでできる具体的な予防歯科って?

検診
定期的にむし歯がないか、歯茎の状態はどうか隅々までチェックしていきます。
歯石取り
歯石は多かれ少なかれついてしまいます。つきっぱなしになっていると歯周病を引き起こす原因となるため、定期的に専用の機械で取り除いていきます。
お口のクリーニング(PMTC)
歯の表面を隅々まで、特殊な器具を使って徹底的に磨きあげていきます。普段の歯磨きで落とすことのできない入りくんだ部分の汚れや、歯の表面の着色もきれいに落とし、歯の表面を特殊なペーストでツルツルに仕上げます。それにより、歯垢が付きにくくなってむし歯や歯周病予防に高い効果があります。
歯磨き指導
予防歯科で最も大切なのは、家庭でのケアです。歯を悪くする原因である歯垢をできるだけ自分で落とせるように、歯科衛生士や歯科医師が、その人にあった歯磨きの仕方を指導していきます。
フッ素塗布
高濃度のフッ素を歯全体に塗布し、歯をむし歯に負けない強い歯にしていきます。乳歯や永久歯に生え変わるお子さんに行われることが主ですが、成人で歯茎が下がって歯根が露出してしまっている場合にも、その部分のむし歯予防に高い効果があります。
シーラント
むし歯にかかりやすい6歳臼歯の溝の部分にシーラントと呼ばれるコーティングをし、むし歯を防ぎます。

一般的なメニューは上の通りですが、歯科医院によっては「3DS」と呼ばれる、マウスピースにむし歯予防や歯周病予防に効果のある薬剤を入れて歯に装着し、むし歯や歯周病を予防するシステムや、むし歯のかかりやすさを唾液でチェックする「サリバテスト」のようなメニューを行っているところもあります。

予防治療で大切なこと

欧米人は歯がきれいな人が多いですが、これは子供の頃から予防歯科が多くの人に浸透していることが理由としてあげられます。欧米では歯の美しさが重要視されており、歯が汚いと社会的にも認められにくい、というような背景があります。これは歯並びが悪ければ子供の時に早めに治す人が多いことからも、歯の美しさを大切にしていることが伺えます。

また、欧米の人が予防歯科を大事にしている理由して、歯が悪くなってからの治療に関しては、日本のように保険で格安で治療を受けることができない、ということも大いに関係しています。歯が悪くなってから歯医者にかかると、治療費が非常に高額になってしまうのです。日本のようにあらゆる治療が保険で安く受けられる国は他にないと言ってもいいくらいです。それは一見いいシステムのように感じられますが、それがゆえに「悪くなったら治療すればいい」という考えの人を多く生み出している可能性もあります。

これまで予防歯科を実践してこなかった人も、決して手遅れではありません。是非、これをきっかけにまずは歯医者さんで検診を受けてみましょう。そして悪いところが見つかったら治療をし、治療が終わったら、痛いところがなくても定期的に歯医者さんに通うようにすれば、歯の健康を保ち続けることは十分可能です。

ぜひ、予防歯科を実践し、心身ともに健康な生活を送っていきましょう!