妊娠中の歯周病

妊娠中の歯科治療で注意すること

妊娠中は、ホルモンバランスや悪阻、食事内容の変化で通常では起こりにくい口内トラブルが発生しやすくなります。
妊娠をして増える女性ホルモンの中には細菌を増殖させてしまうものもあり、歯周病や虫歯になるやすい口内環境になりやすくなります。
虫歯治療や歯周病治療、クリーニングは妊娠中でも受けれます。できるだけ安定期に入った妊娠中期に治療するのが良いでしょう。
しかし、抜歯やインプラントなど外科的な処置が必要な治療は妊娠中は控えましょう!
痛み止めや抗生物質を飲まなければならないので妊娠中は避けたほうが良いです。

妊娠中に起こる歯周病の種類とリスク

  • 妊娠性歯肉炎とは何か
  • 妊娠性歯肉炎は、妊娠中の女性に特に見られる歯ぐきの炎症で、症状自体は一般的な歯肉炎とほとんど変わりません。主な症状としては、歯ぐきの腫れや痛み、歯磨きの際に出血しやすくなることが挙げられます。妊娠5週目から20週目頃にかけて、こうした症状が現れることが多く、初期の段階では自覚症状が軽いため見過ごされがちですが、放置すると歯ぐきの腫れが徐々に強くなり、口腔内の違和感や痛みを伴うことがあります。さらに妊娠後期、特に32週目頃になると、腫れた歯ぐきからの出血や口臭が気になるようになることもあります。

    妊娠性歯肉炎の発症には、ホルモンの変化が大きく関わっています。妊娠中はエストロゲンやプロゲステロンといったホルモンの分泌量が増え、歯ぐきの血流が増加し、炎症を起こしやすい状態になります。このため、普段は問題のない軽いプラークや歯石でも、妊娠中は歯ぐきの腫れや出血を引き起こすことがあります。つまり、妊娠中は歯周組織が普段より敏感になっているため、口腔内の細菌管理がこれまで以上に重要になるのです。

    妊娠性歯肉炎を予防するためには、妊娠中でもしっかりとしたプラークコントロールが欠かせません。歯ブラシによる日々のケアはもちろん、歯間ブラシやデンタルフロスを使って歯と歯の間の汚れもしっかり取り除くことが大切です。また、定期的に歯科医院でのチェックやクリーニングを受けることも推奨されます。妊娠中はつわりや体調の変化で歯磨きが困難になる場合もありますが、口腔内の清潔を保つことが、妊娠性歯肉炎の発症リスクを下げる最も効果的な方法です。

    妊娠性歯肉炎は放置すると歯周病の進行や口腔内トラブルにつながることがありますが、適切なケアと早めの歯科受診で予防や改善が可能です。妊娠中の健康な歯ぐきは、母体だけでなく、赤ちゃんの健康にも影響することがあるため、日々のブラッシングと歯科医院での管理を心がけることが非常に重要です。

  • 妊娠性エプーリスとは何か
  • 妊娠性エプーリスとは、妊娠中の女性によく見られる歯ぐきの良性の腫瘤(しこり)で、女性ホルモンの分泌量が増加することによって引き起こされます。主な症状としては、歯ぐきの赤みや腫れ、触れると痛みを感じること、歯磨きの際の出血などが挙げられます。発症する時期は妊娠初期から中期にかけてが多く、一般的には出産後に自然と消失するケースがほとんどです。そのため、妊娠性エプーリス自体は健康上大きな問題にはならないことが多いものの、腫れや出血が続くことで口腔内の不快感や食事のしづらさを感じることがあります。

    注意すべき点としては、妊娠性エプーリスが発生する歯ぐきの部位は、プラークや歯石がたまりやすく、歯周病を併発しやすい環境にあることです。妊娠中はホルモンの影響で歯ぐきが炎症を起こしやすく、通常よりも腫れや出血が起こりやすくなるため、歯周病のリスクが高まります。そのため、妊娠性エプーリスを発見した際には、特に口腔内の清潔を保つことが重要です。毎日のブラッシングを丁寧に行い、歯間ブラシやデンタルフロスを併用することで、プラークや歯石の蓄積を防ぎ、炎症の悪化を抑えることができます。

    また、体調が良い時に歯科医院を受診し、専門家によるチェックを受けることも大切です。医師は腫瘤の大きさや状態を確認し、必要に応じて経過観察や治療方針をアドバイスしてくれます。妊娠中の治療は制限がある場合もありますが、多くの場合は妊娠中は口腔ケア中心で対応し、出産後に必要があれば処置を行う形が一般的です。妊娠性エプーリスは出産後に自然消失することが多く、過剰に心配する必要はありませんが、口腔内の衛生管理や定期的な歯科受診によって、歯周病や感染症のリスクを下げ、快適な妊娠期間を過ごすことが可能です。

  • 歯周病と早産(低体重児出産)の関係
  • 妊娠中は、女性の身体にさまざまな変化が起こると同時に、口腔内の環境も変化しやすくなります。その中でも特に注意が必要なのが歯周病です。妊娠中に歯周病が悪化すると、歯ぐきや歯周組織で炎症が進み、体内で「サイトカイン」や「プロスタグランジン」といった炎症性物質が生成されます。これらの物質は血液中に入り、全身へと運ばれることがあります。その結果、子宮に影響を与え、陣痛を早める可能性があるとされています。場合によっては早産や低体重児の出産につながるリスクも指摘されており、妊娠中の歯周病予防が母体と赤ちゃん双方の健康にとって非常に重要であることがわかります。

    妊娠中はつわりによる吐き気や食欲不振、食事の偏りなどにより口腔内の清掃が十分に行えないことがあります。そのため、歯磨きが不十分になったり、プラークや歯石がたまりやすくなったりすることで、歯周病のリスクが高まります。また、ホルモンバランスの変化により歯ぐきが腫れやすく、炎症が起こりやすくなることも知られています。これらの要因が重なることで、妊娠中に歯周病が進行しやすくなるのです。

    妊娠中の歯周病予防としては、毎日のブラッシングを丁寧に行うことが基本です。歯と歯の間や歯ぐきの境目を意識して磨き、歯間ブラシやデンタルフロスを併用することで、プラークの蓄積を防ぐことができます。また、定期的に歯科医院でのチェックやクリーニングを受けることも有効です。歯科医師や歯科衛生士による専門的なケアにより、歯周病の進行を抑え、妊娠中の口腔内環境を健康に保つことが可能です。

    妊娠中は口腔ケアだけでなく、生活習慣の見直しも大切です。バランスの良い食事を心がけ、砂糖の摂りすぎを控え、こまめに水分を摂ることで口内環境を整えられます。こうした日常的な取り組みと歯科医院での定期管理を組み合わせることで、妊娠中の歯周病リスクを大幅に軽減し、母体と赤ちゃんの健康を守ることができます。

妊娠時に見られやすい歯やお口の症状と原因

  • 唾液の分泌量の減少
  • 妊娠すると女性ホルモンの影響によって唾液の分泌量が減ります。唾液が減ると自浄作用が弱まるため口の中がねばねばして気持ち悪くなり、更に虫歯菌や歯周病菌が増え歯垢が作られてしまうという口内環境になります。

  • 不十分な歯磨き
  • 妊娠中のつわりによって歯磨きができなくなることがあります。
    歯ブラシを口の中に入れるだけで気持ち悪くなったり、歯磨き粉の匂いや味が受け付けなくなるということが起こることも多く、またつわりの症状が重い人は起きることができなくなるため歯磨きだけでなく日常の行動がつらくなることもあります。

  • 食の変化
  • 妊娠初期のつわりの時期に食の変化が起こりやすくなります。
    つわりによって食欲が増す人や、食べられなくなる人がおり食生活が乱れがちになります。
    中期以降は、子宮が大きくなるため胃が圧迫され、1回に必要な食事量が摂れなくなるので「ちょこちょこ食べ」や「だらだら食べ」が増えてしまい、そうなることで口内の歯や歯ぐきにトラブルが起きてしまい歯周病や虫歯になりやすくなります。

  • ホルモンバランスの変化
  • ホルモンバランスと歯には深い関係があるのを知っていますか?
    女性ホルモンは加齢だけでなく大きく変化することがあります。ホルモンの分泌が増えると歯ぐきが腫れやす出血することもあります。
    口内環境が悪くなるため歯周病のリスクが高まるので、お口の中の適切なケアをすることが大切です。

妊娠中にできる歯周病治療の内容

妊娠中はホルモンが増えることから歯ぐきから出血しやすく、歯周病になったら悪化してしまう時期です。
妊娠中でもできる治療としては、プラークコントロールと言われる歯石をとりのぞく治療ができます。歯石がついたままだと歯と歯茎の境目が腫れ歯周病が悪化してしまいます。
歯周病は進行してしまうと治療に時間がかかってしまうので、妊娠前からの定期的なメンテナンスで進行させないための予防をするのがいいでしょう。