インプラントと天然歯の違い

インプラントと天然歯は骨との接着が違う

インプラントと天然歯の大きな違いは、歯根膜の有無です。
健康な天然歯は強く揺らしてもびくともしないため、骨とくっついていると思われる方が多いですが、実は骨とは接着していません。歯と骨の間には歯根膜と呼ばれる組織があり、その膜が歯と骨にくっついています。
歯根膜はコラーゲンの繊維でできており、歯と骨の橋渡しの役割をしています。
歯根膜はもし傷ができても再生する治癒能力があるので歯の矯正治療ができます。
一方でインプラントは人工的に作られたものなので歯根膜は存在せずに直接骨と接着しています。骨の中にインプラントの土台を埋めるとそれが2~3か月くらいで周囲の骨と結合します。クッションの役割を果たす歯根膜がないので、矯正はできません。
力が加わると天然歯は、健康な城代でも衝撃吸収のためにわずかに動きます。しかし、インプラントの場合は動くことはありません。
インプラント治療を受けるときは、このような違いを理解して治療を受けることが大切です。

インプラントと天然歯は植わっている場所が違う

インプラントも天然歯も植わっているのは骨です。どちらも骨で支えられてているので丈夫ですし、硬いものも噛むことができます。しかし、この骨がないとインプラントの治療を行うことができません。骨の厚みや高さといったものが必要となるので、歯をなくした後に放置してしまうとその骨の高さが低くなり、薄く痩せてしまうため治療ができなくなります。
インプラントをするには、十分な骨が残っているところにいれなければならず、骨の量や位置によって入れられるインプラントの大きさや場所が制限されてしまうことがあります。
植わる場所によっては、噛み合わせの位置関係がいつも理想的なものになるとは言えません。
歯を抜いたり失ってしまった後は、早めに歯医者さんに相談をしましょう。

噛み心地の違い

私たちが食事をするときに感じる「噛み心地」は、歯の構造と大きく関わっています。天然歯の場合、歯の根を取り巻く「歯根膜」というクッションのような組織が存在し、この部分にある神経が噛んだときの力加減や食べ物の硬さを繊細に感じ取ります。たとえば、ご飯のやわらかさや、せんべいの硬さ、また砂粒のような異物が混ざっているときにも瞬時に察知できるのは、歯根膜があるからです。そのため天然歯では、強く噛みすぎないよう自然に力を調整でき、歯や顎に過剰な負担をかけずに食事を楽しめます。

一方で、インプラントは顎の骨と直接結合して固定されるため、歯根膜が存在しません。そのため天然歯のような微細な感覚は得られにくく、噛む力を調節するセンサーの役割が弱くなります。ただし、その分しっかりと骨に支えられるため、硬い食べ物を噛み砕く力は天然歯と同等、もしくはそれ以上に発揮できるケースも少なくありません。実際にインプラント治療を受けた方の多くは「噛めるようになった喜び」を実感し、ステーキやたくあんなど、これまで避けていた食材も楽しめるようになったと感じています。

まとめると、天然歯は繊細な感覚を持ち、噛む力を細かくコントロールできるのが特徴です。一方でインプラントは感覚はやや鈍いものの、強固な安定性によって「しっかり噛める」という安心感を得られる点が大きな魅力です。

インプラントと天然歯は根っこの大きさが違う

抜歯後の骨がやせたり、中の骨の厚みがなくなり薄くなることによって、天然の歯よりかなり細い直系のインプラントを埋めることになります。天然歯の平均的な直径が約11㎜に対して、インプラントの周囲には最低でも2㎜以上の骨の支えが必要となり直形約4㎜~5㎜、長さは約1㎝のインプラントを作るのが一般的にいわれていて、残念ながら天然歯の半分の太さにも及びません。そのため、食べかすが歯と歯の間や歯ぐきの周りに残ってしまうことがあります。
天然歯の歯の根元部分の断面が楕円形なのに対して、インプラントは円形になり形状も違います。
また、天然歯には細菌の侵入を防ぐバリアが存在しますが、インプラントにはそのバリアは弱く、細菌が体内に侵入しやすい状態になっています。

インプラントと天然歯は寿命が違う

インプラントと天然歯の寿命には明確な違いがあります。天然歯は本来、適切なケアを行えば一生使い続けることが可能な組織です。歯はエナメル質、象牙質、歯髄、歯根膜、歯槽骨といった複雑な構造を持ち、特に歯根膜は噛む力をやわらげるクッションの役割や、歯に栄養や感覚を与える重要な機能を担っています。しかし、むし歯や歯周病といった疾患、外傷、加齢に伴う歯槽骨の吸収などにより、天然歯は失われることがあります。つまり、天然歯の寿命は「適切な予防と治療を継続できるかどうか」に大きく左右されるといえます。

一方、インプラントはチタン製の人工歯根を顎骨に埋め込み、その上に人工歯冠を装着する治療法です。インプラント自体は虫歯になることはありませんが、インプラント周囲炎(歯周病に似た炎症)や、清掃不良による骨吸収、噛み合わせの不調整による破損などが原因で寿命が短くなることがあります。一般的に、インプラントの平均寿命は10〜15年程度とされますが、定期的なメンテナンスと正しい口腔ケアを行えば20年以上機能するケースも少なくありません。

大きな違いは「自己修復能力の有無」です。天然歯はある程度のダメージを受けても、歯髄や歯根膜が生きていれば治療により保存できますが、インプラントは人工物であるため一度トラブルが生じると修復が難しく、撤去・再手術が必要になることもあります。つまり、天然歯は本来生涯にわたって機能する可能性を持つのに対し、インプラントは高い耐久性を持つものの「有限の寿命」を前提とした治療であるといえます。そのため、歯科医療においてはまず天然歯をできる限り保存することが重視され、やむを得ない場合にインプラントが選択されるのです。

インプラントと天然歯は歯の大きさが違う

インプラントは、抜歯後の骨や歯ぐきの状態に合わせて土台に被せる歯を作るため、隣の歯とインプラントの間に空間が生まれます。そのためどうしても歯肉から上の形がラッパ状に広がってしまいます。
ラッパ状の形にせずに空間を埋める形を作ることもできますが、付け根部分が不潔になり感染を起こし周囲の骨を溶かしてしまいインプラントの寿命を縮めてしまうことになるためラッパ状に仕上げる形が通例となっています。
お口の状態に合わせたインプラント治療となるのは、インプラントと人工歯になるため、人口の歯の位置や大きさ、形、咬み合わせに制限があり、失った歯と同じにはならない傾向にあります。そのため、歯茎や骨の状態によっては天然歯のように隙間がなく、詰まりにくい状態まで回復しないかもしれないというリスクも理解する必要があります。

インプラントと天然歯はメインテナンス方法が違う

インプラントは人工物なので虫歯にならないため歯磨きは必要ないと考えられる方もいますが、インプラントをした周囲は感染に弱く日頃のお手入れが必要です。天然歯のように歯根膜がないため、血液供給量が少なく、抵抗力が弱まるため歯周病になってしまうリスクが高くなります。そのため天然歯よりインプラントのほうが歯周病になるリスクは高まります。
天然歯の場合に定期的な歯科検診を受けているのと同じように、インプラントも定期的にプロの目で診てもらいメンテナンスをしていく必要があります。
インプラントは土台と本体をネジで止める構造になっているので、ネジの緩みもチェックしてもらうとより安心です。
病気やトラブルを放置してしまうと、最悪の場合インプラントの撤去ということにも繋がるので、手遅れになる前に3か月ごとの検診やメンテナンスを続けることが大切です。